今週のドル円相場は、先週の上昇相場から一転して一方的な下落相場となりました。
109.700~106.570まで特に戻しもなく一気に3.2円ほど落ち込みました。
週明けから直近の高値109.850を超えることなく、円買いの勢いがしだいに強まっていった印象です。
利益確定売りから始まり、109円を割ってからの見切り売りが下落を強め、上の方で逃げ遅れた買いポジの損切りが下落を強めたのではないかと考えています。
ファンダメンタル的には月曜日の時点では特になかったような気がしますが、水曜日のFOMCに向けての利益確定や事前のリスク織り込みなどがあったのかなと考えています。
リスク要因としては「米のコロナ第二波懸念」「景気後退の懸念」「YCCの行方」などが挙がっていた印象です。
注目されたFOMC前後では特徴的な動きはありませんでしたが、金曜日の11時まではじり安展開が続き、その後はショートカバーのような上昇が見られて週末を迎えました。
先週までのテクニカル分析におけるシナリオが怪しくなる価格帯まで推移したので、シナリオの見直しを入れたいところです。
2週続けて一方的な値動きが続いているので、なかなか分析が難しいところです。
それでは、2020年6月14日時点のドル円相場分析と今後のシナリオを考えていきます。
月足・週足:6月第2週は下ヒゲ拡大、SMAに抑え込まれる
6月第2週(8~12日)は、「円買い」を主体としてドル円は3.2円ほどの下落を見せました。先週の上昇分(2.4円ほど)以上の値幅で下落していますね。
月足の単純移動平均線SMA(25)に抑え込まれており、レジスタンスとして機能したと考えられます。
一方で黄色のチャンネルライン内に収まっているほか、フィボナッチ61.8%(106.500)にも現時点では支えられています。来週からもこの2つのラインがサポートとして機能するかに注目です。
もし、このサポートを割った場合は次に期待できるサポートは105.000の水平線と考えられます。
ファンダメンタル的には「米のコロナ第二波」「景気後退懸念」「YCCの行方」などが注目、ニュースで見られた週でした。
今週の下落は利益確定売りや上で捕まった買いポジ損切りのほか、以上のようなファンダメンタル要因が影響したと考えられます。
また、週足を見てみるとSMA(200)がレジスタンスとして機能したことがわかります。ここ4週間の上昇の陽線を打ち消す強烈な下落だったとも見て取れます。
ただし、下限のチャンネルラインやフィボナッチ61.8%もサポートとして機能しているようで、下ヒゲ陰線を作って週末を迎えました。
月足で述べたように、この2つのサポートが来週からも機能するかどうかが注目すべきポイントであると考えます。(週足の詳しいレジサポ考察はvol.37, vol.38)
このサポートが機能するのであれば、再び110円方向に上昇する見込みがあります。
一方で下にブレイクした場合は次のサポート候補である105.000の水平線までを考える必要が出てきそうです。
今週の下落で日足以下のシナリオは考え直す必要ができましたが、現時点では週足以上のシナリオは継続と考えています。105.000のサポートを目指すと考え直す必要が出てきます。
引き続き、月足・週足レベルでの目標値は
・上値:114.100:週足レベルの直近高値ドル円相場分析vol.35より引用
・下値:100.900~95.120:フィボナッチ50~38.2%
ただし、前回の下値の反応を見ると100円台は買いも厚い
日足:既存上昇シナリオと新規下落シナリオ
大まかなメインシナリオは上昇トレンドを考えており、フィボナッチ23.6%(104.250)を割らない限りは、中・長期的な上昇シナリオをメインと考えています。詳しくはこちらのnote(vol.32)を参照今週の下落は強烈なものでしたが、上の条件を満たしていないのでメインシナリオは継続して考えていきます。
しかし、先週vol.42まで考えていた細かな日足の上昇シナリオは怪しくなる価格まできたので下落シナリオも考えていきます。
まず、既存の上昇シナリオ(vol.42まで)が継続した場合のシナリオについて考えます。
今週の下落は強烈なものでしたが、修正2波の終点と仮定した105.980を割っていないことからまだ上昇シナリオの可能性も残っていると考えています。(かなり怪しいですが)
週明けから再び上昇方向へ進んでいくのであれば、緑矢印のような5波動で副次3波が作られていくのではないかとざっくりと考えています。
その後は、副次4波・5波と続いていくシナリオがこれまでに考えていた日足レベルの上昇シナリオです。
副次波についてもう少し詳しく見ていきます↓
副次1波と仮定した上昇にフィボナッチを引いてみると、今週の下落で副次1波のフィボナッチ23.6%まで達しました。
ローソク足の実体だけでみると、フィボナッチ23.6%で踏みとどまっている印象を受けます。
今後、このフィボナッチ23.6%(106.900)を実体で割らない限りは上昇シナリオに優位性があると判断します。
一方で、髭まで見てみるとこの23.6%をしっかりと割っており、上昇シナリオは破綻しているとも考えられます。
とても微妙な価格とローソク足の形で週末を迎えているため、上昇シナリオが継続か破綻か判断が難しいところです。(今週の動きを見ると破綻寄りになりますが)
ということで、破綻の可能性に向けた新規の下落シナリオを考える必要があります↓
上図のように、これまでの修正2波と仮定していた終点を副次a波、先週までの上昇分を副次b波と捉えることもできます。
副次a波は5波動の「ダイアゴナル」、副次b波は3波動の「ジグザグ」と考えています。
このように考えると今週の下落から副次c波が始まっている可能性が考えらます。そして、今後5波動で下落していくことも予想されます。
この場合、週明けから上昇したとしても青色の価格帯を上抜けできない + 直近の安値106.570を割ることが条件になります。
さらに、直近の安値を割った場合は106.000や105.000を目指す可能性もあると考えています。
また、日足のフィードバック23.6%(104.250~500(線の引き方で前後))をローソク足実体で割ると、大まかな日足の上昇シナリオを考え直す必要が出てきます。
来週からは
・直近安値(106.570)を実体で割らずに下値を切り上げるならば、上昇シナリオを継続
・直近安値を割るのであれば、下落シナリオの優位性が高くなる
ことを念頭にトレードしていきたいところです。
4時間足:上昇・下落シナリオの掘り下げ
今週の金曜日(12日)からの上昇を手掛かりに素直に上昇トレンドへ推移していくのであれば、上図①のような緑矢印に値動きが考えられます。
レンジが長く続いた黄色の価格帯が再び意識されるかは不確かですが、この価格帯を上抜けて明確な下値の切り上げが観測できた場合は、上昇シナリオ継続の優位性が高くなります。
一方で、このような一方的な下落をしたときはすぐに反発上昇するのではなく、ショートカバー後に再び下値を試すことが多い印象もあります。
このような下落の仕方では、直近安値まで下落してから反発するような「ダブルボトム」が作られる可能性も考えられます。
直近安値で堅い値動きをするのであれば、「ダブルボトム」の可能性がありそうです。
・黄色の価格帯で上昇が止められる
・次の下落で直近安値106.570を明確にブレイクする
週明けから直近安値をブレイクした場合は、106.000~105.000まで下値を拡大する可能性が考えられます。
週末の上昇を少し引き継ぐか、いきなり下落し始めるかは現時点では判断することはできません。
1時間足:今週の値動きを分析(強烈下落)
上図の白線より右側が今週(8~12日)の値動きになります。今週は8日の夜にかけて円買いが強まり、それをきっかけに一方的な下落相場となりました。
先週の大陽線の付け根である白点線をブレイクしたことをきっかけに、大陰線が連続しているように見えます。
また、直近安値(108.615)も更新したことで下落方向に決まったと判断できそうです。(ここまで大きな下落になるとは思いませんでしたが)
下落の勢いは強く、直近でレンジ相場を作っていた黄色の価格帯はあまり意識されず、じり安展開が12日まで続きました。
12日11時以降は反発の上昇をするものの、現時点では修正レベルの値幅にとどまっています。また、黄色の価格帯の下限で短期的な上値の抑え込みが観測できます。
週明けからは
・この黄色の価格帯を上抜けするか、また、下値を切り上げていくか
・直近下値106.570をブレイクして、さらに下値を広げていくか
の2点が注目ポイントではないかと考えています。
まとめ
今週は一方的な下落相場となり、ここ4週間の上昇分を打ち消す結果となりました。とはいえ、現時点では月足・週足レベルのサポートは機能しているようにも考えられ、週末はショートカバーのような反発の上昇も見られています。
週明けからは、直近の安値106.570を割るか否かが日足レベルのシナリオに影響すると考えています。
・安値を割らない場合は日足上昇シナリオが継続
・安値を割った場合は日足下落シナリオへの切り替えが吉
6月前半は2週続けて一方的な値動きをするという波乱相場となりました。
後半からはどのような値動きになるか楽しみです。(長期足での方向感は出るのかどうか?)
以上、2020年6月14日時点でのドル円シナリオ分析レポートでした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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